オーバーホールと言うと分解、検査、組み立て、調整等を意味するようですが、ピアノの場合弦の張り替えを指す事が多いようです。
今回はハンマーの消耗、硬化に加え、バットフレンジの動きなどもよろしくなかったので、弦とチューニングピンの交換とハンマー一式を交換します。
ネットで検索するとたくさんわかりやすく書いたページがあり、わざわざわかりにくい説明を書いてもしょうがないかと思いますので簡潔に。
まず弦の方
全部で約230あるチューニングピンを徐々に緩め、ある程度のところで弦を取り外します。
チューニングピンもピン板を痛めないようゆっくりと外します。
写真は外し終わったところです。
アップライトピアノですが、効率を考えて寝かせて作業しています。
一人で作業しているのでここからの写真がありませんが、私の場合ピン板のダメージが少ないと聞いた事があるので、チューニングピンに弦を巻き付けてからピンを打ち込んでます。
続いてハンマー交換の方です。
このピアノは長年色んな調律師さんが調律や修理をしてきた様で、変なところがチラホラ・・・
ハンマーを部分的に削ってあって長さが揃ってなかったり
ハンマーの高さが揃ってなかったり
バットが部分的に新しかったり
おそらくハンマーシャンクが折れて交換する時にバットにシャンクが残って除去出来ないので新しいバットに交換したんでしょうね。
スティックも多数あります。
こちらが新しく付けるハンマーバットとシャンク
こちらは新しいハンマーヘッド
一旦基準以外のハンマーと
ウィッペンを全て外してウィッペンは交換しないので掃除、点検、調整します。
こちらもスティックが数カ所ありセンターピンを交換しました。
ちなみにフレンジのトルクは勘ではなくこういうので計測しています。
センターピンが飛び出しているものもありました。
↓
番外編ジャックの汚れとり
↓
番外編その2ダンパーロッド磨き
その3スプーン磨き
この辺は修理代頂いてませんが外したついでなのでやっておきました。
あとは新しいハンマーの取付です。
先にハンマーヘッドにシャンクを植えて(接着して)
ウィッペンを取り付けたアクションをピアノに戻し
シャンクの長さや植込み角度等を調整してバットに植えます。
出来上がりました。(危うく写真撮らずに閉めて帰るところでした)
またまたついでにネームやペダルなどの真鍮部分も磨いておきました。
ピアノは音が出るだけなら60年以上平気で使えますが、良い音で音楽を奏でると言う観点でいえば十数年〜数十年で弦やハンマーの交換が必要と言われています。
費用はそれなりにかかりますが、お使いのピアノの音色が気に入らないときはご検討下さい。