G5Eハンマーヘッド交換

ピアノのハンマーは形、固さで音色を左右する重要な部品です。
使用によって弦との接触面が潰れたり摩耗したりで、時々整音という作業をしますが、いつまでも良い音で弾くには時にハンマーの交換が必要となります。
今回のピアノは古い上に、以前来ていた調律師さんが毎回ハンマーを「先端だけ水平に」削っていたらしく、形がおかしくフェルトもだいぶ減っていたので交換する事となりました。
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現在ついているハンマーの角度などを測定し、基準のハンマー以外は全て取り外します。
またタッチウェイトも一応測定しておきます。
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取り外したハンマーアッセンブリからハンマーヘッドと取ります。
本来このぐらい使い込まれている場合はローラー(ナックル)も傷んでいるのでシャンクごと交換、又はローラーの交換も同時にした方がいいのですが、予算等の都合上今回はシャンクは再利用、ローラーもそのままにします。
外したついでにシャンクフレンジのトルクを計測、悪いものはセンターピン交換をしました。
タッチウェイト測定の結果、フリクションが高めだったのでこの辺で改善してくれると良いのですが・・・
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続いてハンマーの加工。まずは第一整音とプリシェイブ。
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測定した角度、位置で穴あけ。
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サイドのテーパー加工。隣のハンマーと接触しない様に斜めに削ります。
テーブルソーを使って加工すれば早いんでしょうが、指が無くなりそうで怖いので鉋で削りました。
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後側のテイル(アーク)加工。
この加工は
1、斜めに取り付けるハンマーのテイルをシャンクと直角にする
2、バックチェックと擦れない様な曲面にする
意味があります。
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テイル加工前と加工後。テーパー加工の前後は写真撮っていませんでした。
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基準に合わせて接着して
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最後に基準も交換して終了
といきたいところですがまだ作業があります・・・・・・

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アップライトピアノのオーバーホール

オーバーホールと言うと分解、検査、組み立て、調整等を意味するようですが、ピアノの場合弦の張り替えを指す事が多いようです。
今回はハンマーの消耗、硬化に加え、バットフレンジの動きなどもよろしくなかったので、弦とチューニングピンの交換とハンマー一式を交換します。
ネットで検索するとたくさんわかりやすく書いたページがあり、わざわざわかりにくい説明を書いてもしょうがないかと思いますので簡潔に。
まず弦の方
全部で約230あるチューニングピンを徐々に緩め、ある程度のところで弦を取り外します。
チューニングピンもピン板を痛めないようゆっくりと外します。
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写真は外し終わったところです。
アップライトピアノですが、効率を考えて寝かせて作業しています。
一人で作業しているのでここからの写真がありませんが、私の場合ピン板のダメージが少ないと聞いた事があるので、チューニングピンに弦を巻き付けてからピンを打ち込んでます。
続いてハンマー交換の方です。
このピアノは長年色んな調律師さんが調律や修理をしてきた様で、変なところがチラホラ・・・
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ハンマーを部分的に削ってあって長さが揃ってなかったり
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ハンマーの高さが揃ってなかったり
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バットが部分的に新しかったり
おそらくハンマーシャンクが折れて交換する時にバットにシャンクが残って除去出来ないので新しいバットに交換したんでしょうね。
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スティックも多数あります。
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こちらが新しく付けるハンマーバットとシャンク
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こちらは新しいハンマーヘッド
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一旦基準以外のハンマーと
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ウィッペンを全て外してウィッペンは交換しないので掃除、点検、調整します。
こちらもスティックが数カ所ありセンターピンを交換しました。
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ちなみにフレンジのトルクは勘ではなくこういうので計測しています。
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センターピンが飛び出しているものもありました。
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番外編ジャックの汚れとり
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番外編その2ダンパーロッド磨き
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その3スプーン磨き
この辺は修理代頂いてませんが外したついでなのでやっておきました。
あとは新しいハンマーの取付です。
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先にハンマーヘッドにシャンクを植えて(接着して)
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ウィッペンを取り付けたアクションをピアノに戻し
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シャンクの長さや植込み角度等を調整してバットに植えます。
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出来上がりました。(危うく写真撮らずに閉めて帰るところでした)
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またまたついでにネームやペダルなどの真鍮部分も磨いておきました。
ピアノは音が出るだけなら60年以上平気で使えますが、良い音で音楽を奏でると言う観点でいえば十数年〜数十年で弦やハンマーの交換が必要と言われています。
費用はそれなりにかかりますが、お使いのピアノの音色が気に入らないときはご検討下さい。

ネズミ除け

アップライトピアノはペダルの穴からネズミが入る事が稀にあります。

現行機種は初めから対処してありますが、古い物には後付けのネズミ除けをつけます。
今日のピアノは調律始めようとペダルを踏んだらギーギー雑音が。
確認しようとペダルを手で動かすとガタガタ…
おかしいなと下前板を外し、ネズミ除けを外すと
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埃まみれですが右のペダルの下に白くて丸いペダルブッシュが落ちていました。
ちゃんと取り付け直して掃除して元通りネズミ除けを取り付けておきました。
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さらっと書いてますがペダル天秤棒外したり各部潤滑したり…結構時間を取られました。
明日はわが身、取り付けは確実にしましょう。

調律の日記念コンサート

調律師協会からチラシが届いていました。
一般会員でペーペーの僕が告知するのもどうなんだろう?と思いますがせっかくなので。
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日本ピアノ調律師協会主催の新人演奏会が4月2日、あいれふホールで行われます。
各大学より選ばれたピアニストがレベルの高い演奏を聞かせてくれると思います。(昨年初めて行ったのでよく知りませんが)
お時間のある方はお誘い合わせの上是非いらして下さい。

背もたれ椅子の座板

ピアノの専用椅子には背もたれがないベンチタイプ(新高低自在椅子)、昔懐かしい丸椅子、背もたれ付きのもの(高低自在椅子、トムソン椅子、5号椅子などと呼ばれます)などがあります。
今回は背もたれ付き椅子の座板の修理です。
まずはご覧ください。
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いつも調律させて頂いている保育園の椅子をふと見ると、何やらテープでぐるぐる巻き。
よく見てみると割れていて、テープで何とか繋がっている状態で使用するのは危険では?
修理するにしてもいつまで時間がかかるかわからない為、ご相談してこの椅子は引き取り、別の中古椅子を買って頂く事にしました。
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テープを剥がしたところ。
構造としてはOSB合板の様な板に突き板を貼って、紫のクッション部分と裏側にある高さ調節の機械を埋め込む部分を彫り込んであるようです。
上手い事テープ貼ったものだと関心します。
クッションと機械は使えそうですが、はっきり言ってこの座板は使い物にならないので新しく作りました。
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買って来た板を座板の形に切り出し、クッションを埋め込む部分(線を引いてある内側)と裏側の機械を入れる部分をトリマーで削ります。
毎度の事ながら、写真を撮り忘れてますたらーっ(汗)
外側を面取りビットで削って丸くして、サンドペーパーを80〜320番ぐらいまでかけて、塗装。
目止め(多分砥の粉を使った)をして中塗り(何使ったかチョット覚えてない)、平滑に研磨、上塗り(ラッカーを使いました)、また研磨してポリッシャーで磨き完成。
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塗装は難しい〜。
文章ではたった2行ですが、平面を出すのも大変ですし、設備もないので虫がついたり、ムラが出来たり、垂れたり・・・
何回も吹き付けて乾燥時間も長めにとって結局1年以上かかってます。
仕上がりは一応艶もあるし鏡面塗装っぽいのでこれ以上は諦めました。
組み立てたところの写真も撮ったつもりでしたがどこに行ったかわからない・・・・・・
この椅子は先日売れましたが、修理中/修理待ちの背もたれ椅子があと2台ありますので、中古椅子欲しい方でお急ぎでない方はご連絡ください。
背もたれ椅子をお使いの方は座板の後ろ側にヒビ等ないか時々確認した方がいいかもしれません。