前回弦を張り替えたところまで投稿しましたので、残りは調律、調整です。
カテゴリー: 修理事例
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KG-5Cその4
鍵盤の高さを丁度良い高さで揃えている所ダンパーの調整。邪魔なのでサスタニングロッドは外してます。納期に少し余裕が出来たのでオマケで。お客様がタッチが重いとおっしゃっていたので、タッチウェイトの調整もしました。このピアノは現行とは違うタイプのアクションの為、重く感じたり(実際に重かったですが)もたついたタッチになったりしやすいと思います。交換する方がいいかもしれませんが、部品代だけでも結構な金額になるので今回は調整のみで何とかしました。納品は12月初めに済んでいたんですが、その後体調を崩し年末を迎えてしまったので、更新が年を越してしまいました。搬入もまた大変そうでしたが、何とかお客様にも喜んで頂けて良かったです。設置後の写真をすっかり忘れてしまいさみしい記事になってしまいました
(サービス調律に行ったので写真を撮って来ました) -
KG-5Cその3
やっと注文していた部品等が入って来て修理が進みました。
まずは鍵盤のブッシングクロス。弾いていなくて虫食いにあったため、ピンの接触しない部分だけ食われています。段差に引っかかり鍵盤が戻らない事もあります。今回はPVAと言う種類の接着剤をつかってみました。初登場、ダンパーガイドレールです。これも虫に食われてますね。ついでなので交換します。これは接着されてませんので押し出して、新しいクロスを押し込むだけです。取り付けました。カワイは響板がいつまでも綺麗ですね。次はローラーと言う部品です。今回、計測してみると規格品にないサイズだったので特注しました。新しくなったローラーこの辺は何度か投稿していると思いますので省略します。いよいよ張弦開始。この青いフェルトが特注で弦が張れませんでした…^^;低音弦は浜松で作ってもらいました。新しい銅が美しいですね。ちなみに、通常は一本取り出しては後方に引っ掛け、前に移動してチューニングピンに巻きつけ、次の弦を取り出し…とやりますが、ピアノが大きく、部屋も狭いので移動が少なく済むようにやってみました。低音弦にリボンフェルトも取り付けて張弦完了です。いよいよ終わりが見えて来ました。 -
KG-5Cその2
さっさと弦を張って落ち着かせたいところですが、部品調達の関係上、先に外装をやっています。
まずは真鍮パーツの磨きから。カワイのペダルは錆止めにラッカー塗装をしてあり、ペーパーで削ってから磨く…と教わったんですが、ペーパー目が消えず白っぽく乱反射する仕上がりになる為最近は薬品を使うようにしてます。塗装を剥離し錆を洗い落とした所です。実際の作業としては薬品を塗りつけ放置、洗い流して別の液に漬け込んで放置、その後こすり洗い、という感じで間に他の作業が出来るので嬉しいです。バフ研磨機という機械で磨いて完了です。このままの方が美しいのですが、すぐに黒くなるのでクリア塗装しておきます。(この辺は好みというか、考え方次第ですね。何も塗らずに調律の度磨くのも良いと思います)そして空いた時間は本体の磨きをしました。この白いブツブツ、おそらくカビです。そして塗装自体も盛り上がってます。塗装は専門ではないのですが、塗膜が浮いてずっと削っていけば空洞になっているのではなかろうかと思います。このまま磨くだけでも良かったんですが、個人的にツブツブした物が密集していると気持ち悪いので、目立たない部分を削って見て塗膜がかなり厚い事を確認し、全体をある程度研いでから磨く事にしました。磨いた後の写真は映り込みがあって難しいんですよね。だだっ広い所か完全に囲ってしまえると良いんでしょうけど。一応触ってわからない程度には平らにして艶も出てます。後は鍵盤や鍵盤のキャプスタン弦の振動を区切るアグラフやカポダストロバーなんかも磨いて、そろそろパーツ届いてくれないかな…とヤキモキしてます。 -
KG-5C預かり修理1
カワイの40年前のグランドを修理の為お預かりしました。
搬出、搬入ともに大変で、運送屋さんにはご迷惑おかけしました^^;2メートルあるとうちの作業部屋では狭いです。錆、カビ、虫食いが酷いので色々交換します。まず大屋根のピンが外れず苦労しましたがなんとか外し、ダンパーを外しました。音は止まってましたがダンパーフェルトもかなり虫に食われてます。弦を徐々に緩めます。あまり調律もせず放置してあったのでチューニングピンが固いです…低音の巻線は専門のところに作って貰うのですが、今回のピアノは見本があった方が安全という事で外した弦を送ります。全ての弦を外し終わりました。他にも駒の高さを測ったり、フェルト、クロス類の厚さを測ったりして必要な物を書き出して1日目は終わりです。 -
Y社グランドピアノ ハンマーアッセンブリ交換
何故か今年はハンマー交換をする機会が多いです。
今回はY社純正のパーツですので、アッセンブリ(ハンマーにシャンク、フレンジ一式が取り付けられた状態)でパーツが入って来ます。だから加工とか特にせずにそのまま取り付けます。
こんな状態で届きます。
何が良いかと言うと、ハンマー穴あけや植え付けを工場でそればっかりやっている人がやってくれるので、慣れない技術者がやるのとは精度が違います。
その代わり部品自体が割高で、「現行機種の」純正パーツのため古いピアノとは角度や穴あけ位置が違う事もあります。また、理想的なハンマーと弦の角度を実現する為には自分で測定、穴あけする必要があります。
余談は置いといて作業の方の紹介を続けます。
元の状態です。
ローラー(ナックル)と呼ばれる部分です。新しいものと比べると消耗がはっきりとわかりますね。
手順としては古いハンマーを外して、新しいハンマーを取り付けるだけです。
出来るだけ元の位置に付けたいのでこのように交互に取り外し、間隔を確認しながら取り付けていきます。
完了です。あとは交換した部分に関係のある整調の狂いを直して、整音をすれば終わりです。
今回は頼まれ仕事で「あまり針を刺さないで」とのご依頼でしたので、整音は揃える程度で3弦合わせ(同時打弦)と軽いファイリング程度で済ませました。
(個人的にはこのハンマーテールの溝、スカッジの入り方が怖いです。バックチェックという部分と接触するんですが革が破れそう。)